不動産売買トラブルの事例と弁護士への相談ポイント
不動産売買に潜むトラブル
不動産の売買は人生の中でも大きな取引です。マイホームの購入や売却、投資用物件の取引など、取引金額が高額になるだけに、トラブルが発生した場合の影響は深刻です。
港区や渋谷区、世田谷区といった城南エリアは不動産取引が活発な地域であり、物件価格も高額になる傾向があります。そのため、トラブルが生じた際の損害も大きくなりがちです。
本記事では、不動産売買でよくあるトラブルの事例と対処法、弁護士に相談すべきタイミングについて解説します。
よくある不動産売買トラブルの事例
契約不適合責任に関するトラブル
2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」に代わって「契約不適合責任」が導入されました。引き渡された不動産が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して修補請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などを求めることができます。
よくあるケース
- 購入後に雨漏りやシロアリの被害が発覚した
- 建物の構造に欠陥があった
- 土壌汚染が判明した
- 境界が確定しておらず、隣地との間でトラブルが生じた
契約不適合責任では、「契約の内容に適合しているかどうか」が判断基準となります。売買契約書に記載されている内容が重要になるため、契約時に物件の状態を正確に把握し、契約書に明記しておくことが大切です。
手付金に関するトラブル
不動産売買では、契約締結時に手付金を支払うのが一般的です。手付金は売買代金の5%〜10%程度が相場とされていますが、手付金に関するトラブルも少なくありません。
よくあるケース
- 売主が手付金の倍額を返還せずに契約解除を主張した
- 手付解除の期限をめぐって争いになった
- 不動産業者が手付金を持ち逃げした
手付金には「解約手付」としての性質があり、買主は手付金を放棄することで、売主は手付金の倍額を返還することで、それぞれ契約を解除できます。ただし、相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除ができなくなるため、タイミングが問題になることがあります。
重要事項説明に関するトラブル
不動産の売買では、宅地建物取引業者が買主に対して重要事項説明を行う義務があります。この説明が不十分であったり、虚偽の内容であったりした場合にトラブルが発生します。
よくあるケース
- 近隣に嫌悪施設が建設される予定が説明されていなかった
- 建築制限(用途地域、建ぺい率、容積率など)が正確に説明されていなかった
- 過去に事故や事件があった物件であることが告知されなかった(心理的瑕疵)
- マンションの管理費や修繕積立金の滞納情報が説明されていなかった
重要事項説明に不備があった場合、宅地建物取引業者に対して損害賠償を請求できる場合があります。
※ 個々の状況により結果は異なります
二重売買のトラブル
売主が同じ物件を複数の買主に売却してしまうケースがあります。不動産の所有権は登記によって対抗力を得るため、先に登記を備えた買主が優先されます。売買契約を締結したにもかかわらず、他の買主に先に登記を移されてしまった場合は、売主に対する損害賠償請求を検討することになります。
境界トラブル
土地の売買では、隣地との境界が明確でないことがトラブルの原因になることがあります。特に古い住宅地では、境界標が失われていたり、長年の間に境界線がずれていたりするケースがあります。
目黒区や大田区など城南エリアの住宅密集地では、境界が入り組んでいるケースも見られます。売却前に境界確定測量を行い、隣地所有者との間で境界確認書を取り交わしておくことが望ましいでしょう。
トラブルを未然に防ぐためのポイント
契約書の内容を十分に確認する
不動産売買契約書は専門的な用語が多く、読み解くのが難しいと感じる方も多いでしょう。しかし、契約書の内容が後のトラブル解決に大きく影響するため、以下の点は特に注意して確認してください。
- 契約不適合責任の範囲と期間
- 手付解除の条件と期限
- ローン特約の有無と内容
- 引渡しの時期と条件
- 違約金の定め
物件の状態を自分でも確認する
内覧の際には、建物の外壁や基礎部分、水回り、電気設備などを自分の目で確認することが重要です。できれば住宅診断(ホームインスペクション)を利用し、専門家に建物の状態を調べてもらうことをおすすめします。
信頼できる不動産業者を選ぶ
不動産業者の選定も重要なポイントです。宅地建物取引業の免許を持っているかの確認はもちろん、過去の行政処分歴がないかを国土交通省のウェブサイトで調べることもできます。
弁護士に相談すべきタイミング
不動産売買のトラブルは、金額が大きいだけに自己判断で対応するリスクが高い分野です。以下のようなケースでは、早めに弁護士への相談を検討してください。
購入前の段階
- 契約書の内容に不安がある
- 特約条項の意味がわからない
- 売主や不動産業者の説明に疑問がある
契約締結前に弁護士に契約書のチェックを依頼するのは、トラブル防止の有効な手段です。
購入後にトラブルが発覚した場合
- 引渡し後に物件の欠陥が見つかった
- 重要事項説明と実際の状況が異なる
- 契約の解除を検討している
契約不適合責任には、買主が不適合を「知った時から1年以内」に売主に通知するという期間制限があります。問題に気づいたら、できるだけ早く行動することが重要です。
売却時のトラブル
- 買主から契約不適合責任を追及されている
- 仲介手数料の額に疑問がある
- 契約解除をめぐって買主ともめている
売主の立場でも、法的に適切な対応が求められます。感情的に対処すると事態が悪化するおそれがあるため、弁護士の助言を受けることが望ましいでしょう。
弁護士費用の目安
不動産売買トラブルを弁護士に依頼する場合の費用は、案件の複雑さや紛争の金額によって異なります。一般的な目安として、相談料は30分5,000円〜1万円程度、着手金は20万円〜50万円程度が多い傾向にあります。報酬金は獲得できた経済的利益の10%〜16%程度が相場とされています。
初回無料相談を実施している事務所も多いため、費用面が心配な場合は、まず無料相談を利用して見通しと費用の見積もりを聞いてみることをおすすめします。
まとめ
不動産売買トラブルは、契約不適合責任、手付金、重要事項説明、境界問題など多岐にわたります。取引金額が大きいだけに、トラブルが発生した場合の損害も深刻です。
トラブルを防ぐためには、契約前の段階で契約書の内容を十分に確認し、物件の状態を慎重にチェックすることが大切です。問題が発生した場合は、自己判断で対処せず、不動産問題に詳しい弁護士に早めに相談することで、適切な解決策が見つかりやすくなるでしょう。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律的なアドバイスを提供するものではありません。具体的なお悩みについては、弁護士等の専門家にご相談ください。
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